第5回 発明相談と出願依頼
さて、前回、本人出願は、出願から登録に至る手続の専門性・困難性があって本来的に難しいという話をいたしましたが、出願書類を作成して特許庁に提出すること自体、それほど難しいことではありません。その手続を述べることはここでは省略しますが、例えば、
「特許出願のてびき〔第32版〕」(特許庁編、 A5、2004年05月26日発行)
特許・実用新案に関するよくある質問(特許庁Webサイト)
が参考になるでしょう。特に、特許庁Webサイトは充実しており、特許願の作成要領、明細書の作成要領、図面の作成要領等、詳細に記載されています。
ただ、専門性・困難性とはむろん中身の話ですので、「作成要領」とは次元の異なる話です。本人出願を成功させることの難しさについては第4回をご参照ください。
専門性・困難性の詳細については、実際にどのような手順で依頼人との接触がはじまり、登録に至るのかを具体的にお話しする途中で随時、触れていくことにします。
出願に至るまでのフローチャートを以下に示しました。








依頼人からの連絡・予約
まずは、メール又は電話でご連絡ください。打ち合わせ日時を設定させていただきます。
特許事務所は、企業の知財部以外、一般の方にはなじみのない存在であろうかと思いますが、どうか気楽なお気持ちでご連絡ください。
また、弁理士や特許事務所のスタッフには弁理士法によって厳重な守秘義務が課せられており、相談内容や依頼内容が外部に漏洩することはありませんので、ご安心頂ければと存じます。
なお、ご提案の詳細な内容をメールで送信されることはネット上で盗聴されるリスクがありますので、絶対にお避け下さい。
相談・出願打ち合わせ
出願を前提としない発明相談(有料)と、出願することを前提とした出願打ち合わせの二種類があります。発明相談については、依頼者の方の質問にお答えさせて頂きます。
一方、出願打ち合わせについては、思いつかれたアイデア(特許)、ネーミング(商標)等について打ち合わせを行います。出願打ち合わせに費用は不要です。
なお、出願打ち合わせの結果、出願するかどうか、その時点でははっきりしないことがあります。その場合にはとりあえず発明相談という取り扱いにさせて頂いておりますので、ご了承ください。また、出願打ち合わせではあったが、何らかの事情で出願中止となった場合にも、発明相談として取り扱わせて頂きますので、何卒、ご了解頂きますよう、お願い申し上げます。
料金については、料金表をご参照ください。
提案内容の吟味・問い合わせ・補充資料
出願打ち合わせ後、依頼者からの提案内容を吟味し、書類作成の方向性について検討しますが、依頼人にあらためて問い合わせをさせて頂いたり、不足する資料を補足頂くこともあります。
この段階で技術的把握を行うとともに、それを発明として把握する作業を行うわけですが、この段階が出願段階ではもちろんのこと、特許出願から登録までに至る手続全体からみても、最も重要な作業といえるでしょう。
発明として把握した上、それを法律文書としてまとめるには、特許法等の法律はもちろん、審査便覧、審査基準等にも習熟していなければなりません。明細書の作成が専門的かつ高度な作業といわれるゆえんです。
着手
準備が整ったら、出願に必要な書類の作成に着手しますが、特許技術者が担当する場合、その経験に応じて弁理士が特許技術者と綿密な中間報告&チェックを繰り返し行い、必要があれば、何度でも軌道修正を行います。
依頼人によるチェック
出願書類が完成したら、案文という形で依頼人の方にファクシミリ等でお送りし、チェックをお願いします。依頼人の方には、特許であれば技術的事項に限定してチェックをお願いしております。すなわち、技術的な側面で理解が誤っていたり、適切でなかったりといった点がもしあればご指摘頂くということになります。
ちなみに、弊所では、着手前及び着手中、ご提案内容を十分に吟味し、不明な点があれば予め問い合わせを行いますので、案文のチェックでそのようなご指摘があることはほとんどありません。
このあたり、他の事務所とはかなり相違するかと思います。
弊所では、出願打ち合わせやその後の問い合わせをきわめて重視しており、技術的な側面で不明な点を残したまま、出願書類を作成するということはいたしません。
なぜなら、その不明な点が発明の重要なポイントであるかもしれないからです。
つまり、第一段階として技術的把握を完全に行い、第二段階として、その技術的把握に基づいて発明の把握を行いつつ、法律文書を作成するという手順になります。
依頼人によるチェックで問題なければ、出願ということになります。
出願
パソコンオンライン出願によって出願手続を行います。
出願が完了しましたら、出願書類を添えて依頼人にご報告させていただきます。
これで、とりあえず必要な作業が終わりました。
出願後の手続については、次回以降でお話いたします。
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