はじめに
第1回 費用の考え方
第2回 効果の考え方
第3回 費用対効果
第4回 本人出願
第5回 出願依頼
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第1回 費用の考え方
アイデアが頭にひらめきました。
最初に何をしたらよいのでしょうか。
まず、費用対効果を早急かつ慎重に検討してください。
特許出願(*)を行うとともに審査請求(*)を行うと、特許庁から審査結果が拒絶理由通知(*)、特許査定(*)等の形で返ってきます。即、特許査定される場合は少なく、ほとんどの場合、拒絶理由通知書が発送されてきます。
そして、拒絶理由に対して意見書や補正書を提出し、引用文献(*)との違いを主張した上で、「本願発明は引用文献とは異なるものゆえ、特許されてしかるべき」といった主張を行い、拒絶理由が解消したと審査官が判断すれば、その特許出願に対し、特許査定が発送されます。これを受け、三年分の特許料を支払うことで初めて特許権として登録され、権利が発生することになります。
さて、ここまで一体どのくらい費用がかかるのでしょうか。
手続を弁理士に依頼すると仮定すると、出願から登録に至るまでには、弁理士報酬と印紙代(国に支払うお金)とを併せて、少なくみても80〜100万円程度の費用がかかります。また、登録になってからは、毎年、特許料を年金という形で国に支払わねばなりません。
したがって、たとえ特許権を獲得できたとしても、それを財産的に活用しなければ(できなければ)、少なくとも経済的な観点では何の意味もないということです。土地を買ったはいいが、その土地を放ったまま、毎年、固定資産税を支払っているようなものでしょうか。
用語解説
特許出願;特許請求の範囲、明細書、要約書及び図面を願書に添付してなる特許願を特許庁に提出する手続。アイデアを権利として請求するための書面を特許庁に提出する手続という程度の理解で大丈夫です。
審査請求;出願しただけでは審査されません。審査請求という手続を別途行うことが必要です(出願日から三年以内)。
拒絶理由通知,引用文献;かくかくしかじかの理由で特許できないという通知です。
全く同一の発明が既に文献に記載されており、公知になっている(新規性欠如)、あるいは全く同一ではないにしてもいくつかの文献を組み合わせれば容易に発明できる(進歩性欠如)という理由が拒絶理由の根拠になることがほとんどです。
ちなみに、新規性や進歩性がないことの根拠として提示される文献を引用文献と呼びます。
特許査定;拒絶の理由がないため、特許するとの審査官からの通知。
特許庁からの許可通知という程度にご理解ください。
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